高円寺といえばお洒落カフェがたくさん。そんなイメージお持ちではないでしょうか?話題のカフェを目指し、はるばる電車を乗り継いで遊びに来る人も多いでしょう。
なんとその中には、ファンタジーの世界へワープした感覚になれるお勧めカフェがあります。
それでは、物語の世界観に入り込める幻想的な喫茶室。「エセルの中庭」へとご案内しましょう。
隠れ家のような入り口をくぐると
高円寺といえば商店街が有名ですが、その中の一つに「パル商店街」があります。
とても活気にあふれ多くの人で賑わっていますが、一つ路地を曲がって数秒。ひっそりと姿を現すのがこの入り口。
うっかりすると通り過ぎてしまう隠れ家のような雰囲気。ここはファンタジーの世界への入り口で
- 2階には私語厳禁で読書を楽しむためのアール座読書館
- 3階には今回紹介する物語喫茶エセルの中庭
と看板が出ています。
アール座読書館についてはまた今度紹介するとしましょう。今回は3階のエセルの中庭へご案内します。
自分だけの時間を過ごす静寂なる喫茶室「アール座読書館」ここは以前に書いた、ファンタジーな世界観を持つ喫茶店、エセルの中庭の系列店です。[sitecard subtitle=関連記事 url=https://www.machi[…]
ようこそファンタジーの世界へ
2階を通り過ぎ、さらに階段を上がっていくと、琥珀色の光が出迎えてくれます。
地面から草が生え、鉄鋼の庭門につるが伝い、天井にまで植物が伸び、緑の葉っぱと枯葉が混じった庭の入り口に遭遇。
さらに上からは、まるで晴れた日の太陽の様な光が照らされています。
地面を見ると、隙間が空いて敷かれたレンガとこの土っぽさが本物の中庭の様な雰囲気を演出している。その先の地面は木の板となっている。
そして、BGMのように流れる朗読の音声が私たちを迎えてくれるのです。
店内も驚くほどの幻想的な空間ですが、この「エセルの中庭」の物語を知っておくと、より一層わくわくできるので、中に入る前に先に少しだけご紹介しましょう。
エセルの中庭の物語とは
J.C.Macmillan 加藤武夫訳「中庭のエセル」という物語を元にしています。
主人公は「エセル」という心に傷を負った悩める少女。彼女の中の空想と現実が入り混じった空間がこの中庭なのです。まずは物語のプロローグ部分を是非ご一読ください。
琥珀色のにすが染みた不安定なテエブルに頬杖をつき、店内を呆然と眺めながら、彼女は懐かしきあの庭を思つた。にじんだ眼前の光景に、色鮮やかに蘇ってきたあの庭の全景が重なつた。突如、お茶をすする客達の背後から木々や草花がによきによきと生えてくるのがエセルには見えた。いつの間にか入口には鉄製の庭門が現れ、座席の脇に噴水がせり出し、その傍らに懐かしい女神像が立つてそれを見下ろしていた。もはや彼女の視覚は、他の客の目に映るのと同じ殺風景な店内の様子を見ることが出来なくなつていた。
今やこの空間は現実であつて現実ではない。
それは全くの所、過去の現実と現在の空想のちょうど真ん中であつた。
心を傷める少女の思い出の堆積そのものであつた。
これを読んだ上で店内を見渡すと、より一層世界観を堪能できます。店内には物語に忠実な景色が広がっているのです。
ホームページより抜粋しましたが、それ以降のお話も掲載されていますので気になった方は是非読んでみてくださいね。
いよいよ中庭へ
私が行った時、カフェは空いていたので「お好きな席へどうぞ」と言われました。どこも雰囲気が素敵でどの席がいいか一瞬迷ってしまいます。
それ以前に席がどれだか、店の広さがどれくらいなのか分からないくらいの世界観。
一先ず席に着いたが、テーブルの立て付けが不安定。座り心地は良くはない……。
しかし、物語には「琥珀色のにすが染みた不安定なテエブルに頬杖をつき」とありました。まさにその通り。
こちらのセンターの席はエセルが座っていた所と思われます。
物語には「座席の脇に噴水がせり出し、その傍らに懐かしい女神像が立つてそれを見下ろしていた。」とありました。
地面や天井にはファンタジーの世界の住人が戯れている様子が演出されている。
光の差し込み方が幻想的です。
最初に運ばれてくるサービスのお水のコップでさえもとても素敵。
静かに流れる水の音がまた、この世界観をより美しく演出しているように思えます。
お客さんの様子
カップルや若い女の子が多いと予想していったが実はそれだけではなく、男性二人で来ていたり勉強をしているのか、1人出来ている男性もいます。
照明が暗いので読書や勉強には向きませんが、席によっては自然光が入ってきて明るいです。
2階のアール読書館が満席でこちらに来る人もいるよう。
スマホではなく大きなカメラをもって来た人は、隅々まで動画を撮っているようです。ホントに沢山撮影したくなる店内なので納得がいくけど、あまり夢中になると他の人の邪魔になるので注意しましょうね。
カウンター席もあるけど基本的には半個室になっていて、植物や装飾品で溢れているので、あまり他の客さんの顔が見えずプライベートな時間を楽しめます。
コンセプトカフェのようではあるけど、店員さんは意外と普通の接客です。無理に個性を作らなくても十分な世界観を堪能できるのです。
ちなみにその店員さんは、注文から飲み物食べ物の準備、お届け、会計まで全部1人でこなしていて少し忙しそうでした。
細部までこだわるメニュ達
メニュー表はまるで絵本みたい。
中もそれぞれのメニューに細かな解説が付いています。
ものによっては、その飲み物または食べ物を、物語に沿ったような書き方もしています。
ちなみにこの世界の主人公エセルはコーヒーが苦手みたい。
私もエセルと一緒で、コーヒーは苦手。なので珈琲豆の焙煎のし方によってどう味が変わるのか分からなかったけど、エセルのセリフで一目で理解しました。
深煎りは酸味が抜けて、コクと苦みが増しカフェインも抜けていくもの。中煎りは酸味や香りなど、豆本来の味わいを楽しめるものだそう。
私は苦いのも酸っぱいのも苦手。なので紅茶をチョイスしました。
紅茶の種類も沢山あって、解説も詳しく書かれているけど、結局どれも魅力的なので迷ってしまいます。なので店員さんにいろいろ聞いちゃいました。
いちばん人気の毒林檎紅茶
「毒林檎の紅茶」いわゆるアップルティーです。
よくあるアップルティーがポットの可愛さでこんなにも華やかに。
このように透明のティーカップに、透き通った紅色の紅茶が注がれる絵がとてもキレイ
もう一つはこちらのロータスティー
ベトナム王宮の女性たちに愛された蓮のお茶。美肌やダイエットにも効果的だといわれているそう。
癖がなくてとても飲みやすかったです。
入れ物は沢山の種類がありどのティーポットで来るかはその時のお楽しみですね。ポットが大きいので量もたくさん。
せっかくなのでティータイムを楽しむためお茶菓子も頼みました。
その日によってフレーバーが変わるパウンドケーキ
アフタヌーンティーの定番 スコーン&クッキー。この雰囲気だけでとにかくテンションが上がります。
カフェの装飾と照明による陰影、そしてこだわりのかわいい食器によって絵葉書のようなキレイな空間になりました。
貸し切りもできる
なんと、こんなにかわいい空間を貸し切りすることができるとのこと。
朗読会や撮影会など幅広く利用できます。※こちらに詳細が載っています。
出入り口にはかわいい食器類がディスプレイされており、値段がついているので購入もできるみたいです。
それぞれの物語をみつめよう
さて、エセルの中庭はいかがでしたか?写真だけではなく実際に足を運んでこの世界を体感しに行ってみてください。
鉄鋼の庭門を再び抜けて薄暗い階段を降りていくと明るい自然光の元、現実の高円寺の街へと帰っていきます。
物語喫茶「エセルの中庭」。エセルの中にある物語が作り出した、過去の現実と現在の空想のちょうど真ん中の空間。
現実からちょっとだけ離れてみて、それぞれの物語を見つめなおしたり語ったり、ゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?
詳細情報・アクセス
住所 | 東京都杉並区高円寺南3-57-6 3F |
電話 | 03-6383-1974 |
営業時間 | [火~金] 14:30~22:00[土日祝] 14:00〜22:00 |
定休日 | 月曜日 |
公式サイト | http://garden3ethel.blog.fc2.com/blog-entry-47.html |