文京区、白山駅から徒歩10分。歩いているだけで体が温まってくるような坂道を乗り越えると、住宅街にぽつんと現れるレンガ模様のビル。その一階に、白山浴場はあります。
ビルの一階にあると聞くと、都市型のおしゃれな銭湯を想像する方が多いかもしれません。意外にも白山浴場は、明治時代から100年以上続く、老舗の銭湯なんです。
第二次世界大戦の際の空爆により一度は焼失してしまいましたが、昭和55年に先代が建て替えを行い、今日まで続いています。
かわいらしい暖簾が目印
冒頭のほっこり和やかな暖簾が白山浴場の入り口です。お風呂に入る前から、ゆったり暖まれる空間が想像できるデザインですね。
以前は女将さん特製の富士山柄の暖簾を使っていたそうで、住宅街の中にひっそり佇むビル銭湯として、思わず足を止めてしまう工夫がされているのだなあと思いました。
番台ではアルコール消毒と非接触の検温があります。
その日はとても寒い日だったので、わたしの体温はなんと34度台。思わずびっくりしていると女将さんが「今日は寒いから、33度のお客さんもいましたよ。お風呂で暖まっていってね」と優しく声をかけてくれました。
手ぶらで訪れた人のためのシャンプーやタオルも130円から販売しています。その日の思いつきでふらっと訪れることができるのも、街の銭湯の良さですよね。
昔ながらの銭湯の風景
写真はイメージです。
脱衣所に入ってみての感想は「映画で見たことのある昔の銭湯にそっくり!」でした。
古びているけれど清潔感のある脱衣所。ロッカーの鍵には手書きのマジックで番号が書かれています。
男女の脱衣所を仕切る壁が真ん中にありますが、天井までは少し空間があるためお互いの声や音が響いています。考えてみれば、普段よく行く温泉や都市型銭湯の脱衣所は静かなことが多いですよね。
白山浴場の脱衣所はほどよい賑やかさがあって、昭和の映画のような雰囲気が新鮮で楽しかったです。
また、脱衣所や入るための廊下にも入り口の暖簾と同じテイストの暖簾や手芸品の展示があり、内装にもこだわっているのだなあと感じました。
ペイズリー模様のタイルが美しい清潔な大浴場
大浴場に入るとまず目を引くのが壁一面のペイズリー模様のタイル。この柄は前女将さんによる図案で、瀬戸の窯に特注して焼いてもらったものだそう。銭湯にしては珍しい、お洒落な柄です。
浴槽は薬湯とバイブラ湯(超音波のお湯)、ジェットバスの3種類。温度は薬湯が一番ぬるく、他の2つの浴槽は高めです。
まずは薬湯に入り温度を確認してから、他の2つの浴槽に入ることをおすすめします。わたしは普段42度くらいのお湯に入るのですが、それでも薬湯以外の浴槽は熱かったです。
常連らしい年配の方々は気持ちよさそうに熱いお湯に浸かっていて、これも昔ながらの銭湯の風景なのかなあと感じました。
とくに印象的だったのは、大浴場、脱衣所ともに掃除が行き届いていて清潔感に溢れているところです。歴史ある銭湯というと、清潔感に不安を覚える方もいるかもしれません。ですがご安心を。白山浴場は古さこそ感じさせますが、どこを見ても一点の曇りもないくらいピッカピカに磨き上げられています。お風呂上がりに気分すっきり、爽快でいられたのはこの清潔感のおかげでしょう。
季節ごとのお風呂やイベントも楽しめる
白山浴場が加盟する文京浴場組合では、季節ごとのお風呂やイベントに力を入れており、白山浴場も共にイベントを行っています。
2020年に行ったものでは、りんご湯、ボンタン湯、チョコレート湯、ジンジャー湯(コロナウイルスの影響で直前に中止)、レモン湯、シークワーサー湯、ヒノキ湯、柚子湯など。
ちなみにチョコレート湯は、カカオの香りの入浴剤を使用したお風呂で、実際にチョコレートを入れたわけではないのでご安心下さい。
また、銭湯での必須アイテム、タオルを配布するイベントも定期的に行っています。
2020年3月に行われた春のタオル祭では、白山浴場の名前と「銭湯のあるまち」のイラストが描かれたタオルを配布していました。
銭湯のタオルというと渋めのデザインを想像してしまいますが、実際はとてもオシャレ!銭湯に行くときだけではなく家でも使えますし、飾っておきたいくらいのデザインなのが嬉しいポイントです。
タオル祭りの度に訪れて、タオルを集めるのも楽しそうですよね。
2020年はコロナウイルスの影響でイベントの数自体が少ない年でしたが、例年は今年以上に様々なイベントを開催しているので、訪れる度に楽しむことができますよ。
お客さん同士の会話が自然と生まれる空間
わたしが浴槽に浸かっていると、たまたま目が合ったお母さんが話しかけてくれました。話を聞くと銭湯が好きで、都内の銭湯を日々巡っているそう。思ったより熱いお湯にのぼせそうになったときも、優しく気遣ってくれました。
また、脱衣所でもたまたま隣で着替えをしていたおばあさんと話が弾み、「またね」と言ってもらえたのは嬉しかったです。こうして銭湯のお客さん同士も顔見知りになっていくのでしょうね。
番台でも女将さんが気さくに話しかけてくれましたし、身体だけでなく心も温まる空間なのだと感じました。
白山浴場を訪れる際の注意点
- 備え付けのリンスインシャンプー、ボディソープがありますが、数が少ないので持参するのがいいでしょう。
- ロビーは比較的狭いので、脱衣所を出て一休みしたら早めに銭湯を出ましょう。
- ドライヤーは有料です。
- 洗面台はひとつしかありません。
わたしは白山浴場を訪れて、「愛のこもった銭湯だな」と感じることができました。
銭湯の中をびっくりするくらいのピカピカに磨き上げることも、廊下の内装にまでこだわることも、利用するわたしたちからすれば当たり前のことですが、実際に行うのは簡単なことではありません。きっと、白山浴場に対する愛情がなければできないはずです。
常連さんが優しく話しかけてくれるのも、スタッフの皆さんの愛情を感じとっているからではないでしょうか。
近所の常連さんや都内の銭湯好きに愛される白山浴場に、身体も心も暖まりに行ってみてはいかがですか?
詳細情報・アクセス
住所 | 東京都文京区白山2−7−1 |
営業時間 | 16:00〜23:30 |
電話番号 | 03−3811−1052 |
定休日 | 月曜 |
料金 | 12歳以上 480円 6歳以上12歳未満 180円 6歳未満 80円 |
ウェブサイト | http://www.sentou-bunkyo.com/pg63.html |