どこか懐かしい昭和の雰囲気が今も残る街、立石。
その中でも特に歴史を感じさせるスポットが呑んべ横丁。
立石で生まれ育った地元民の私は、子供の頃からずっとそこにあるのであって当然のものと思っていたんです。
ですが、開発の波で半分が消え、いずれ全て無くなってしまうかもしれない場所。
今回は、今しか行くことができないフォトジェニックなディープスポット呑んべ横丁に改めて足を踏み入れてみました!
タイムスリップしたかのような雰囲気に入り込む
呑んべ横丁は、有名な観光地浅草から電車で約11分、京成立石駅北口から徒歩1分の場所にあります。
立石駅通商店会を曲がりひとつ細い道に入ったところが入口です。
入口には呑んべ横丁の看板が。少し斜めなのも味があるのかもしれませんね。
昼は閑散としている雰囲気で、立って看板の写真を撮っているとビニール袋を抱えたおじさんが通り過ぎて行くぐらい生活感もあります。
夜はよりムーディーな感じになります。
看板の明かりに惹かれるがまま入っていきましょう。
京成線の線路から垂直の2本の狭い路地が呑んべ横丁のメインです。
呑んべ横丁の歴史。どうしてこんな雰囲気なの??
どこか退廃的だけれど懐かしい。飲み屋の明かりがこぼれる呑んべ横丁の歴史は終戦後にまで遡ります。
戦後、立石デパート商店会ができ、当初は衣料品店や飲食店が並んでいたその場所が、その後スナックや飲み屋の横丁となったのが始まりです。
また、当時周辺には町工場も多くあったためとても賑わいました。
さらには共同便所があって少し臭ったことからションベン横丁と言われていた歴史もあったとか。その名前は流石にひどいと思います。(笑)今回歩いた時は全く匂いは気にならず、清掃は行き届いていると感じます。
半分消滅する前はデパート時代の衣料品店のアカカンバン等の看板があったりとデパートとしての雰囲気も残されていました。
赤線地帯のすぐ近く
呑んべ横丁の近くにはGHQ向けの特殊慰安施設協会 指定慰安所のち赤線の歴史を持つ場所もあり、呑んべ横丁もそうだったのかと混同しそうになります。1つの建物に対して扉がいくつもありますし、柱があるのが印象的で、白い塗料が剥がれてタイルが見えていますね。
赤線地帯とは??
特殊飲食店とも言われる赤線は、ほぼ公認の状態で主に女性が客引きをして商売をしていたところです。
GHQが公娼制度を廃止してから1957年の売春禁止法施行まで赤線として商売をしており、こういった風俗営業OKの地区を地図上で赤線で囲ったことから赤線と言われるようになったそうです。対する青線は飲食店の許可を得ただけなのに特殊飲食店として営業していた場所を指すそうです。
現在の呑んべ横丁は?治安は大丈夫?
呑んべ横丁は青線だったのかと思う方もいるようです。
今では夜でも普通に歩くことができる場所ですが、細い路地が多いので散策には気をつけてください。
また訪れる際は、実際に今ここに住んでいたり、飲み屋を営んでいる人々もいるので、配慮を忘れないようにしましょう。
そう言えば、ひと昔以上前の私が子どもの時には呑んべ横丁の近くにはデカデカとした看板のソー○ランドの○ルコが駅近にあったり、駅の真ん前で綺麗なお姉さんが客引きをしていました。
あの時は駅前で綺麗なお姉さんに迎えられて(思い込み)目の保養でした。
また親戚から、「赤線あたりで2階窓から女の人が客引きしてたんだよ、おいでおいでってさ」と聞いたことがあり本当にそのような場所だったのだと、昭和の半ばまでは普通にそういったことがあったのだと衝撃を受けたことがあります。
今でも赤線ファンの方が写真を撮りにくる場所です。
子どもの頃はそういうものだと思い受け入れていましたが、随分奔放な街だったのですね。
今では考えられないことです。
立石は色々な意味合いで昭和が取り残された場所と言えます。
昼に戦後の昭和の面影を残す路地の雰囲気を眺める
昼の早い時間に行くと営業している店舗が少なく扉はどこも閉まっており人通りも少ないです。
錆びて恥が茶色くなった青や水色のトタン、沢山伸びる配線のコードたちが歴史を感じさせます。
これぞまさしく昭和の香り!
私が写真を撮っていたらお仲間なのか、写真を撮りまくる青年が現れたので、「だろうだろう、ここいいだろう」と思いながら道を譲ってあげました。
昼でも少し薄暗く、中央の丸い明かりがともっています。
上をよく見るとアーケードになっているんですが、ところどころ穴が空いてたり壊れているので、それはご愛嬌です。
建物同士が繋がった長屋風の造りになっているのもいい感じ。
半分になる前はこの居酒屋波がちょうど横丁の真ん中にありました。
当時は昼でももっと薄暗い印象があり、暗いのが苦手だった子供の頃は通るのが嫌でしたが、横丁が半分ほどになった今は光がよく差し込みます。
その頃は、Vシネの撮影場所としても使われていたことがあったらしいです。
この場所に雰囲気のある人々がただずんでいたら絵になりますし、正にフォトジェニック!!!
夜はスナックや飲み屋に呑兵衛たちが集まる
夜になるとまたガラッと雰囲気が変わります。
千と千尋の神隠しのように、まさに眠っていた横丁が起きたという雰囲気。
居酒屋 波
昼も夜も写真映えする場所なのは間違いありません。
昼とは違いふくろうのかわいいのれんが出て営業中となっています。
閉まっている店もありますが、のれんが出て店の灯りがともるだけでその場所があたたかい雰囲気になります。夜のほうが人通りが圧倒的に多いです。
スナックしらかわ
スナックしらかわはL字のカウンターがありカラオケもできる名店です。
前を歩くと話し声や笑い声が聞こえてきます。
盛り上がっているようです。
カラオケBAR 宙~ (ソラカラ)
壁や看板が黄色で統一されたカラオケBARです。
宙~の読みは“ソラカラ”です。
呑んべ横丁最古のスナック バーニュー姫
バー ニュー姫は呑んべ横丁において最も古いスナックです。
夜は紫の電飾が光り輝きます。
扉を見ると、マツコさんも訪れていたことがわかります。
立ち飲み屋 れとろ
れとろは、天ぷらが食べられる立ち飲み屋です。
揚げたての美味しい天ぷらとお酒を楽しめます。
お客さんが沢山いてぎゅうぎゅうでした。
開発ですでに半分が無くなりいずれ消えてしまう場所。
京成線の周りの駅が高架になっていく中、この立石も例外ではなく高架や開発が進められています。
しかもかなり大規模なものだそうです。
全ての開発が終了すれば下町の昭和レトロな雰囲気とはまた違った新しい街になっていることでしょう。
京成線の連続立体交差事業で高架になるため既に呑んべ横丁も半分消えているのが現状です。
解体前は今の長さの倍あり、更地になった場所の店舗は移動して営業をしているところもあるそうです。
高架になれば、現在のように開かずの踏切でなかなか渡れないということがなくなるので便利になります。
続いて立石駅北口地区第一種市街地再開発事業で残り半分も数年でなくなってしまうかもしれないとのこと。
大きなマンション兼商業ビルが二棟建ち、区役所が入るのだそうです。
呑んべ横丁のある北口地区だけではなく仲見世のある南口も開発が予定されています。
立石も開発が進めば昭和の街が消え、他の駅前開発が済んだ街と似て、駅の近くに公共施設があり、バスロータリー、高層マンション、そのマンションの下の方はスーパーなどができとても便利でしょう。
ですが、昔からあるものが無くなってしまうことに寂しさを感じる方もいると思います。
実際に歩いていて扉や窓に開発反対と紙に書いて貼ってあるところも少なからずありました。
住みやすさや防災のために対策をすることは必要なことで、立石には火災が起きた時に消防自動車が通れない路地が沢山あるのですが、物事は一つの側面からでは判断できないこともあります。
せんべろの街としての立石が開発によりどうなってしまうかはわかりません。
呑んべ横丁もかつてはレトロとは言われず最先端の場所だったはず。
立石の街は新たな変化を迎えていきますが、昭和から続く街の歴史は記憶や記録に留めておきたいものです。
併せて訪れたい南口の商店街と仲見世
立石には呑んべ横丁と合わせて楽しんでいただきたい商店街が2つあります。
北口も南口も是非両方堪能してください!
地元民が利用する南口商店街
南口駅前すぐの場所にあります。
昔からある下町の商店街でアーケードがあるので雨の日の買い物も便利。
夜も電気がついてとても明るいのです。
今では、チェーンの百均や飲み屋なども増えてきてはいますががまだまだ懐かしい雰囲気を楽しめますし、個性的な飲み屋もありますよ!地元民にとっては便利な商店街です。
立石仲見世はお惣菜を買ったりお酒を飲んだり何でもできる
立石の駅階段を下りてすぐにあるのは立石仲見世の商店街。
終戦後にお店が集まり、アーケードが設置されました。
戦禍を免れてきた人達が集まってできた闇市を開いたのがはじまりとも、浅草から流れて来た人々が浅草仲見世を想い立石仲見世とつけたとも言われているそうです。
2階建ての長屋で一階が商店で二階が住居や物置などに使われているそうです。
買い物をしたお客がガラポン抽選会に参加できるどんと市や手作り凧コンテストなどのイベントも開催されています。
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凧コンテストの時はアーケードの天井が凧で埋め尽くされて圧巻です。
もつの名店やおでん屋など閉まったシャッターの間に名店がひしめき、飲むだけではなくお惣菜もゲットできる立石の名所の1つです!
昔懐かしい昭和の雰囲気が漂う呑べえ横丁を訪れるなら今しかありません。
飲むも撮るも最期のチャンス!?
古き良き歴史ある横丁に行ってみませんか。
立石呑んべ横丁情報・アクセス
最寄駅 | 京成立石 |
営業時間 | 各店舗による |