気付けば夏はあっという間に過ぎてしまいました。
花火や海はどこへ行ったの!?夏らしいことも話題も何もなかったかも!?
そんな皆さんに夏の風物詩的とも言える涼しげな話題をお届け。
怪談はお好きですか?
怖い話を得意としていた落語家が東京台東区の谷中に眠っているんです。
その名も初代三遊亭圓朝(さんゆうていえんちょう)。
今回は彼と彼の遺したものたちをわかりやすくご紹介していきましょう。
三遊亭圓朝とは
三遊亭圓朝は怪談噺を得意とした人で幕末から明治にかけて生きた偉大な落語家です。
「牡丹燈籠」「真景累ケ淵(しんけいかさねがふち)」「死神」など、多くの名作を創り出し、歌舞伎にも大きな影響を与えています。
皆さんもどれかは耳にしたことがあるのではないでしょうか。
また、一部の作品は青空文庫でも読むことができます。
青空文庫は著作権が消滅した作品や掲載許可が下りた作品を無料で読むことができるweb図書館のようなサイトです。
是非利用してみてください。
現代の作品でも見ることができる
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三遊亭圓朝の「死神」は、雲田はるこ先生の漫画「昭和元禄落語心中」でも有名になりました!
この漫画は戦前から戦後の昭和を描いた落語を巡るお話で、アニメ化もドラマ化もされています。
主人公の1人、菊比古(八雲)が落語「死神」を得意としており、原作の漫画では絵の綺麗さと物語に引き込まれていきます。
さらに、アニメ版では声優の石田彰さん、ドラマでは岡田将生さん演じる菊比古の「死神」に震えが走ってしまいました。
お二人とも噺家なの!?と思ってしまうほどの名演技です。
それぞれの「死神」是非ご覧いただきたいです。
死神のお話とは
噺家さんたちにはそれぞれ落ちのバリエーションがあり、それによって雰囲気も変わってきます。
さて、「昭和元禄落語心中」ではアニメ版もドラマ版も甲乙つけがたいほどの「死神」を見ることができます。
このお話に出てくる、落語の栄枯盛衰、芸を極めることや生きることの辛さ苦悩、愛憎、、、それらがフラッシュバックして菊比古(八雲)の人生が「死神」と合わさっていくようで本当に素晴らしい演技です。
何かを極め、それを仕事としご飯を食べていくというのは、こんなにも大変なものかと心をゆさぶられてしまいました。
幽霊画コレクター
三遊亭圓朝は多くの怪談を創作しました。
そして彼は怪談を作るためにと幽霊画を集めていたのも有名です。
そんな三遊亭圓朝が参考にしたという圓朝の収集した幽霊画、見てみたくなりませんか?
期間は限られますが、実際に見ることができるのでこれからご紹介します!
谷中圓朝まつりに行ってみよう。
毎年夏は谷中圓朝まつりが開催されます。
圓朝は明治33年8月11日に亡くなりましたが、その11日の圓朝忌を調度はさんでいます。
令和2年は8月1日~31日の期間で開催され、入場料は500円とお手頃価格でした。コロナの影響で全生庵の幽霊画公開のみですが、例年合わせて圓朝祭として落語やトークイベントが開催されたりもします。
先程ご紹介した雲田はるこ先生もトークショーをされたりしていたんですよ。
では、幽霊画の飾られている全生庵へお邪魔してみましょう!
ところで全生庵とは?
山岡鉄舟(戦わずに江戸の城を明け渡す無血開城に導いた指導者)により幕末明治維新において亡くなった人々を弔うために建立されました。
三遊亭圓朝ともゆかりがあります。
この全生庵には山岡鉄舟と三遊亭圓朝のお墓があります。また、三遊亭圓朝の集めた幽霊画を50幅所蔵しています。
入口で料金を払うとうちわが貰える
入口で入場料500円を払うとパンフレットとうちわが貰えます。
何のイベントに来たんだっけ?と思ってしまうドクロがブラックで可愛い。
こちらのドクロは三遊亭圓朝が描いたものです。
圓朝は浮世絵で有名な歌川国芳の内弟子になった時期もあったので、流石な絵心です。
幽霊画って綺麗で可愛い
展示室は薄暗く静かで、1人のお客さんもいますがカップルもいました。
見ている人達は皆幽霊画に釘付けになっています。真剣です。
さて、幽霊画の幽霊と言えば、おどろおどろしい情念を感じさせたり、血まみれでこわい!と思ってしまうものももちろんあります。
むしろそのイメージしかありませんでした。
でも、何も考えずフラットな気持ちで見ると、実は幽霊って美女が多いし、可愛いんですよ。
写真撮影はNGですが、全生庵ではポストカードやクリアファイル、手拭いなどのグッズを購入できます。
上の写真は購入したポストカードです。幽霊のみなさん、綺麗じゃありませんか???
差し出す手の白さや綺麗さ、物憂げに傾けられた顔。その立ち姿。足があるかわからないから浮き姿かしら?
うん、とにかく美人。
中央の鰭崎英明「蚊帳の前の幽霊」は圓朝の「牡丹燈籠」の一節を描いたものです。
左は鏑木清方「茶を献ずるお菊さん」、右は伝円山応挙・幽霊図です。
こんな綺麗なお菊さんにお茶を出されたら色々な意味でドキドキしてしまいそう。
お墓参りも出来るんです。
お寺の裏手には墓地があり、圓朝のお墓参りもできます。
大きくて立派なお墓です。
墓地内には案内も出ていて迷いません。
檀家さん募集中だそうです。
圓朝と同じ敷地にお墓を持つことができるってすごい。
三崎坂と団子坂も歩いてみましょう
江戸川乱歩の「D坂の殺人」で有名な団子坂、その反対側が三崎坂で全生庵があるところ。
団子坂はお菊人形や藪蕎麦発祥の地でもあります。
また、三崎坂には新政府軍と旧幕府軍がぶつかり合った上野戦争の痕跡が残された場所があります。
弾痕の跡がお寺に残っていたりするんです!
戦争の凄さを目の当たりにして激動の時代に想いを馳せて散策できます。
もりもり沢山歩きたい方は団子坂と三崎坂をどちらも歩くといいですね。
幽霊画を見て涼しい気分を味わいつつ、千駄木や谷中周辺の坂や寺巡りもおすすめです。
歴史に触れ、文化に触れる街歩きができます。
幽霊画や落語に興味を持った方は、趣味を増やすチャンスかもしれません。
詳細情報・アクセス(全生庵)
住所 | 東京都台東区谷中5丁目4−7 |
電話番号 | 03-3821-4715 |
最寄駅 | 千代田線千駄木駅 |